{{category 入門}} !目次 {{outline}} !!!はじめに  このテキストは、「wiki とは」や「運用について」など、既にインストールされている FreeStylewikiを扱う上で、どのように活用していったらいいか。また、ある程度知識・スキルを持った方が、レンタルサーバやイントラネットサーバ等に自分で FreeStyleWiki をインストール、維持管理していくためのノウハウや考え方を記述しています。  wikiで行うのは、「webサイトの作成」です。したがって、多少のHTMLの知識が必要です。一部では、wikiの説明として「HTML の知識が無くても作成できるもの」のように解説されている場合がありますが、それは嘘とまでは言わなくてもムリがあると思います。煩わしいHTMLを記述しなくても簡単な記法でページを作成できるだけで、知らなくて良いわけではありません。  wiki はなんでもできるわけではありません。得意な部分、不得意な部分があります。しかし、それを踏まえて活用すればとても便利なシステムであることは確かです。扱う上で、若干の'''コツ'''が必要です。それを乗り越えたら便利に使えるのに、丁寧に解説されているコンテンツがあまり存在していないように感じます。最初は私も、wikiって意味が解らん、ダメじゃん、と思ったり、あるいは過剰な期待をしたりしていたんですが、今は利点欠点も見えてきて、等身大に見られるようになってきたと思います。  そこで、一つ、今まで自分が体験してきたことや培ったわずかなノウハウをテキスト化してみようと思いこのテキストを書いてみることにしました。これ自身、FreeStyle Wiki によって書かれています。もしご覧になった方が、自分でもやってみようかな、と思ったり、実際にやってみて便利だなぁと感じていただければ幸いです。  筆者は高校の情報科教員です。したがって実践例は必然的に学校向けが多くなりますが、一つの具体的な例からイメージがわくことはあると思いますので、自分の身に置き換えて読んでください。 !!ユーザ権限とこのテキストの構成  FreeStyleWiki に接する立場は4種類あります。権限のない順番に、 +ログインのない単なる閲覧者(ここでは仮にノンユーザと名付けます) +ログインした一般ユーザ +管理者 +設置者(設置者とは、サーバ領域に FTP などでシステムをインストールする人です)  そしてこの順番に難易度が高くなります。そこで一番難易度の高いインストールは一番最後に記述することにしました。基本的にログインをした一般ユーザがページを作成することから解説を始め、サイトの構成に関する内容、管理に関することやカスタマイズなどシステムに関すること、インストールという順番に記述していきます。したがって、まだ FreeStyleWiki を触る環境がないというかたは、無料サービスの FSWiki.com(http://fswiki.com/)などでアカウントを取ってみるとか、誰かに設置してもらうか、頑張ってインストールするかして下さい。 !!!wiki とは !!wiki のはじまり  「wiki」は「ブラウザでWebサーバ上のwebページを書き換えるシステムの一種である。」と言えます。古くは掲示板があります。掲示板は所定のテキストボックスの枠に文章を記述して送信するとページの一部として追加されます。端的に言えば、wiki はこの仕組みが発展したものといえます。現在「wiki」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのは「ウィキペディア」ではないでしょうか。インターネット上のフリーの百科事典であり、最も成功した wiki の一つです。誰もが記事を書き換えたり、新規の項目を作ることができます。  元々の語源はハワイ語の「Wiki Wiki(早い)」から来ているそうです。1995年にワード・カニンガムが開発したウェブシステムで、簡単なテキストをプログラムが解析し、命令に沿ってHTMLに自動で書き換えてくれるものを wikiwikiweb と言ったところからその名が付いたようです。HTMLを考えてwebページを作らなくても、「早く」「簡単に」新しいページを作ることができる、という意味のようです。  掲示板に何かを書き込むときのように枠に文章を記述して保存するだけで新規のページが作られたり、更新をすることができるのが wiki の特徴といえます。「wiki」という言葉にはソフトウェア自体を指す場合と、できあがった文書全体を指す場合がありますが、ウィキペディアを「wiki」と略すのは'''間違い'''です。wiki + encyclopedia ということです。また、一番最初の wikiwikiweb だけが本当の「wiki」であるとして、世の中の様々な wiki システムのことをあえて「wiki クローン」と言うこともあります。 !!wiki の特徴  大まかに次のような特徴があると考えられます。 +wiki システムにアクセスさえできれば、容易に新規ページ作成や既存ページの更新ができる +細かい HTML を記述しなくても簡単なwiki 文法で記述することでページが作れる(HTML の知識は必要) +各ページどうしのリンクが容易で互いに連携した文書を作りやすい +サイト全体が階層的な構造にならず、互いに関連したネットワーク構造になる。FrontPageという名前のトップページを除いたほとんどのページが同等に扱われる。 !!wiki の種類  wiki システムにはいくつかの系統があります。 ,名称,使用言語,開発国,日本語対応,特徴/備考 ,WikiWikiWeb,Perl,アメリカ,不明,オリジナル ,FreeStyleWiki,Perl,日本,◎,  ,MediaWiki,PHP,アメリカ,◎,ウィキペディアなど ,Hiki,Ruby,日本,◎,  ,YukiWiki,Perl,日本,◎,結城浩さんが開発した有名なwikiシステム ,PukiWiki,PHP,日本,◎,YukiWikiのPHP移植版から始まり現在独自に進む  また無料レンタルサービスで作ることもできます。 * @Wiki (独自エンジン、PukiWikiと似ている) **http://atwiki.jp/ * MyWiki (独自エンジン) **http://mywiki.jp/ * livedoor Wiki (独自エンジン、おそらくは日本最初の商用レンタル wiki サービス) **http://wiki.livedoor.com/ * FSWiki.com(無料レンタルでできる唯一(?)の FreeStyle Wiki) **http://fswiki.com/ (参考)ウィキペディア「ウィキ」http://ja.wikipedia.org/wiki/Wiki !!wiki の記述例  wiki は基本的にテキストで記述して保存、ブラウザから呼び出された時点で wiki システムが HTML に変換して表示します。  記述の仕方は「wiki 文法」と呼ばれる決まった形式ですが、システムごとの「方言」があります。多くは行の先頭の一文字目に専用の記号を記述するものですが、HTMLのように文字を囲む形式もあります。次の例は囲む形式です。 !保存される wiki 構文 '''ウィキ''' ('''Wiki''') あるいは'''ウィキウィキ''' ('''WikiWiki''') とは、 [[ウェブブラウザ]]を利用してWWWサーバ上の[[ハイパーテキスト]]文書を 書き換えるシステムの一種である。 !変換されて送り出されるHTML

ウィキ (Wiki) あるいはウィキウィキ (WikiWiki) とは、 ウェブブラウザ を利用してWWWサーバ上の ハイパーテキスト文書を書き換えるシステムの一種である。

!実際の表示 '''ウィキ''' ('''Wiki''') あるいは'''ウィキウィキ''' ('''WikiWiki''') とは、 [[ウェブブラウザ|ウェブブラウザ]]を利用してWWWサーバ上の[[ハイパーテキスト|ハイパーテキスト]]文書を 書き換えるシステムの一種である。 ※例文はウィキペディアからいただいています。 !!wiki に向くサイト・向かないサイト  以上のような wiki のシステムですが、向き不向きがあります。ポイントを押さえて活用すると絶大な威力を発揮しますが、場合によっては必要のない多くの苦労をしたり、できないことを求めてしまうことになります。  基本的に、wiki とは、HTML の自由度をかなり奪った限られた中で、記述を簡便にしたものです。したがって「表現」をするにはかなり貧弱です。しかし、HTMLの基本的な構造は押さえていますので、きちんとした構造的な文書は簡単に記述できます。これらから以下のように考えられます。 !wiki に向くサイト *あるテーマに沿った様々な内容の解説(ゲーム攻略サイト・アイテム紹介、辞書・事典) *ディジタル作品の保存・公開場所 *掲示板まとめサイト *レシピ集 *(ログインユーザのみ閲覧できるようにして)企画途中のアイディア、懸案事項などを列挙する社内サイト *記録を淡々と追加していくサイト *とにかく簡単にお知らせ的なサイトを立ち上げたい。更新やページの追加がラクで見栄えもそこそこ整っていればいいというサイト *ファイル添付機能を使ったファイル置き場サイト **無料の wiki サービスを借りる場合は、ファイル添付ができなかったり、拡張子に制限がある、容量が少ないなど、あまり向かない。 *単なる個人メモやオンラインのブックマーク *大きな組織サイトの「お知らせ」部分のみのような一部の機能を独立させたサイト つまりネタを貯め込むタイプのサイト。頻繁に更新があったり、作成に複数の人間が関わったりする。それぞれの項目は独立していて、順序や上下の構造がないものが wiki に向くと言えます。 !wiki に向かないサイト *デザインに凝ったり、厳密なフォント指定などを要求するサイト *全体の構造にハッキリとした上下の属性などがあり、ページごとに差別化したいサイト *Flash その他の技術を駆使するサイト *会員の属性を細かく分けて権限を管理したいサイト(このような使い方は Xoops がお薦め。FreeStyleWikiでは、ノンユーザ(ログイン無し)、一般ユーザ、管理者の3段階のみ) *元々CGIが許可されていないサーバ領域(wiki はできません) *買い物カゴ機能など特殊な機能を持つサイト *大きな組織の全体を全て賄うサイト *PVの多いサイト(特に FreeStyleWiki はサーバ負荷が大きくなる)  wiki のことを余りよく知らないけど、今ある自分のサイトを wiki に置き換えたらどうなるだろう……という発想では失敗します。wiki のイメージがある程度有り、これなら wiki が向くと分かった時にうまくいきます。 !!wiki と 他の CMS  wiki も CMS(Contents Management System)の一つといえます。  CMSとは、ウェブサイト作成時に、直接HTMLを記述してウェブページを作成するのではなく、サイト構築をソフトウェアで自動的に行なうようにしたものをいいます。一般的なものとしては blog があります。blogは、日々の日記などを記述するとトップページに自動的に挿入されるとともに、カテゴリーや月ごとなどに分類されます。また Xoops などのように、最初から全体を3列、上部と下部に分け、様々な要素を配置していくような複雑なシステムもあります。どちらも Perl や PHP などの言語と共にデータベースが必要です。  これに対して wiki はデータベースが不要なものが多く、FreeStyleWiki もデータベースを必要としません。それによって、要求されるサーバスペックや設置者の技術が低くなり、インストールが簡単ですぐに使い始められるという利点があります。ずいぶん安くなったとはいえ、データベースが使用できるレンタルサーバは値段が高いことを考えると、手軽に設置できる wiki は重宝です。また blog は「日付」という大きなファクターに縛られ、「時系列」である構造が求められます。カテゴリー分けをしてもそれらは時系列に並びます。wiki は各ページの関係は同等です(それゆえにトップページが余り意味をなさないことが多くなります)。あるページを編集したことで他のページに影響が及ぶことは殆どありません。  これらの各システムの特徴を考慮して、目的のサイトがどういった CMS を使うと簡単に更新ができるのか選択すると良いでしょう。wiki は様々な場面で役に立つと思います。 !!!FreeStyleWikiの特徴  FreeStyleWiki とは、たけぞうこと竹添 直樹氏の開発した「wiki クローン」です。  他のwikiシステムに対するFreeStyleWikiの特徴を、インストール直後のFrontPageに表示されるテンプレートを参考にまとめてみます。 *プラグインによる拡張が容易 *PerlによるCGIが動作するサーバであればほぼ設置可能 *mod_perlでも動作可能 *ファイルの添付が可能 *PDFの生成が可能 *キーワードによる自動リンク機能 *tDiaryのテーマを使用可能 *簡単なユーザ認証機能 *GNU GPLライセンスのフリーソフトウェア *Farm と呼ばれる「子wiki」、「孫wiki」を容易に作ることが可能 一つ一つについては、追々述べることにします。今のところ、ああそうですかぐらいに思っていてください。 [[FreeStyleWiki 入門2]]へ